(僕しだい…)
ネコのいった言葉の意味が 気になって仕方ありませんでした
(何が僕しだいなんだろ)
気付かないうちに 目の前には分かれ道が現れました
(どっちだ…? これが僕しだいってこと?)
決められずに迷っていると いつのまにか目の前に2人の人が立っています
不思議と少年は冷静でした
「こんにちわ」
「何を迷っているんだい?」
「行き先がわからなくて…」
「そう それは困ったね」
「大変だね」
繰り返すように少年の言葉に返事をします
「貴方たちは?」
「僕らはここの道しるべだよ」
「でも 案内はしないけどね」
「なら 何故ここにいるんですか?」
「何故だろうね」
「考えたこともない」
その2人は顔を見合わせて首を傾げます
1人が笑って少年に問いかけました
「君は どこに行きたいの?」
「え?」
「何がしたいんだい?」
「僕には何のことだか…」
「なら 何故ココにいるんだい?」
「どうしてココに来たの?」
「だから…!」
なにがなんだかわからなくなって 少年は頭を抱えました
すると あったはずの2つの道が急に消えているのです
道しるべの2人はがっかりしたように言いました
「ほら どうするんだい?」
「道がなくなっちゃった…」
「僕の所為なんですか?」
「キミが答えないからだよ」
「君が迷ってるから」
「確かに道には迷ってたけど…」
「道じゃないよ」
「ココロが迷ってたんだよ」
「ココロ…」
戸惑うばかりの少年に 2人は語り続けます
「君はどこに行きたいの?」
「何がしたいんだい?」
「どうしてココに?」
「何故ココに?」
『君が目指すのは何?』
「目指す… 僕が 目指す…」
少年は考え始めました
しばらくして 顔を上げると 静かに言いました
「…追いかけてるんです」
「追うだけ? それとも…」
「追いつきたいんです」
「それだけでいいのかい?」
「…追い越したい
 僕は 追い越したくてココまできたんだ!」
その声とともに 閉ざされたはずの道が現れたのです
それも 分かれ道ではなく まっすぐのびる一本道でした
「なんだ わかってるじゃないか」
「よかったね」
2人はうれしそうに笑って言いました
「ほら もうすぐそこだよ」
「はやく行くんだね」
「あ… ありがとうございます!」
「何を言ってるんだい?」
「僕らは何もしてないよ」
「いえ ちゃんと案内してもらいましたから」
「案内?」
「してないよ?」
「でも 僕は貴方たちがココにいる意味がわかった気がします」
「そう?」
「なんでもいいよ ボク達はやるべきことをやっただけだからね」
追い出すように先に行けと言われてその道に足を踏み入れました
少し進んで振り返ると 少年は笑ってお辞儀をしました
2人はまた首を傾げましたが片方は軽く手を振ってくれました
それを見て 少年は走り出しました



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